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派遣業の進出

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派遣業の進出

■増えてきた職人の派遣業

誰もテーマとしない、あまり見かけない内容だと思いますが、職人の技術の継承に関することなので述べてみます。
(すべての職種にあてはまるケースではないので、多くの人が気付かないのでしょう)


  • 昔からありましたが、特に近年、職人の世界に小さな規模の派遣業の進出が目立ってきています。
    派遣業の進出が特に著しい職種では、極度に職人の質が落ちてきています。
  • それは何故かというと、「派遣は一日過ぎれば(終われば)なんぼ」だからです。そこに責任は存在しません。
    (少なくとも職人の世界の派遣の場合は)
  • 能力が半人前だろうが未熟だろうが、派遣する会社から人を派遣してもらった職人の親方は、「ひとりにつき、一日の給料がいくら」と取り決めされた日当を派遣会社に払わなければなりません。
  • つまり、仮に日当の取り決めが1万8千円だとした場合、これも仮にですが中学校を卒業して職人の世界に飛び込んできたばかりの右も左も分からない、正直まだほとんど使いものにならない小僧の子が応援に来た場合でも、親方は派遣会社に一人前の日当である1万8千円を払わなければならないのです。
    (最近ではさすがにこれではきついからと、そこら辺は交渉されるようになって来たようですが…)
  • 職人の親方の立場が弱いのは、この業界の特殊性にあります。簡単に言えば、現場仕事ゆえの段取りの難しさからくるのです。
    (勝負の早い仕事は特に段取りが難しくなります)
  • たとえば、日によってはいくつかの仕事が重なってしまうことがあるのは職人の世界の常ですし、重なっていない時でも仕事の内容によって、沢山人数がいる時もあれば少ない人数で済む場合も当然あります。
  • はっきり言ってしまえば、現代のようなまったく儲からない時代に、それ(段取りの難しさ)を見越して多めに職人さん(正規の従業員)を雇う余裕などはありません。
    自分の組の正規の職人さんは、常にぎりぎりの人数にしている場合がほとんどです。
  • この段取りの難しさゆえに派遣業者(社)に対し、強気に出れないもどかしさがあるのです。
    強気に出て、半人前の職人の日当などに注文をつけて(文句を言って)いれば、急遽どうしても人が必要なときに相手にしてもらえないからです。


  • しかし、事の本質(職人の質が落ちたこと)は、そこではありません。
  • これは何を意味するのかというと、経営上の困難からこのような正統な職人の組が雇える職人さんが少なくなり、且つ、廃業する親方も増えてきているのです。それゆえ、技術の継承がさらに困難な状況となっているのです。
  • そして、その職人の組に代わって、親方の若い衆だった職人さん自体が、儲からない職人の組を立ち上げて独立はせずに「派遣業者として独立する人」が増えてきたのです!
  • 小規模な派遣業の場合、まず独立するのに資本が掛かりません。
    トラックも道具も資材も、資材置き場・工場等の設備投資もいっさい必要ありません。
    それは「派遣先の職人の組」が持っています。
  • 人を段取りして、約束した日に約束した組に行かせるだけですから、独立に至る投資もせいぜいヘルメットと腰道具(腰袋等)と、立ち上げたばかりの最初の運転資金くらいでしょうか。
  • 逆に正統派の職人の組は上記のような大変な設備投資をしなければなりません。
  • また、ここで説明している小規模の派遣業者は、元々職人だった人が独立する場合が多いですから、職人時代の同業者や先輩・後輩等の組など、いくつかの知り合いの組との商売上の関係も作りやすい。
    (ですので、事務所なども当然いりません。すぐに連絡がとれる携帯電話のみが必須です。)
  • そして、人を派遣しているだけですから、その派遣元の職人の組のように請け負う責任もありません。
  • そうなると当然、派遣した従業員(一応、職人の組に派遣する人物なので職人さんです)の技術的指導や教育などは、その派遣業で独立した人(親方・社長)はほとんど行わないこととなります。
  • その人が教育することは、朝なるべく早めに派遣先に行けとか、残業はどれくらいしたのかきちんと報告しろとか、仕事の能力向上に関する事とは無縁のことが主な教育となります。
  • このような形で応援に来る職人さんのレベルは当然の如く酷いし、その職人さんの今後の能力の向上も、責任感と職人魂の芽生えも、大きな希望は持てないでしょう…
  • このように職種によっては、「儲からない」 「設備投資が莫大で職人の仕事にしてはリスクが大きい」 「請け負う責任が重い」 「人を育てる責任感と手間隙が大変」 等を嫌い、それらから解放され、且つ、それらのリスクのある職人の組よりも儲けを得ることが容易な(小さな成功を得ることが容易な)、小規模の派遣業者となる人が非常に多く見受けられる職種もあるのです。
  • 近年のこの変化はとても憂う状況といえます。
    時代の流れで仕方がないことかもしれませんが、淘汰されて大切な職人気質と技術が失われて行く職種もあることでしょう。

なお、最初に申しましたように、すべての職種にあてはまるケースではないので、建設業界の多くの人がこの問題に気付いていないようです。

多くの人が気付いていないという事は大した問題ではないと思う人も多いかとは思いますが、決してそんなことはありません。

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