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設計は請負契約なのか(準)委任契約なのか

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設計は請負契約なのか?(準)委任契約なのか?

「一般に設計契約は請負契約」!!

2010年にこのような判決がでたのを紹介した記事が関係者を賑わせました。

これは、ある設計者(建築家)と依頼者の間に起きたトラブルからの経緯から導かれた判断でした。




  • まず最初に結論から私の意見をいいますと、設計契約は「準委任契約」です。請負契約などでは決してありません。
    これは絶対に間違いのないことだと断言できます。



  • 基本的に設計契約は「準委任契約」(委任の規定が準用される)です。「請負契約」ではありません。
  • 一定の期間や一定の単位で、双方の意思の合意により支払方法・時期を任意に決めることができるのが、「準委任」です。
  • 「請負」は、民法第六三二条にあるように、仕事の完成を持って、その完成に対し対価を支払うものです。
  • ではなぜ「準委任契約」なのでしょうか。
  • 設計の完成は設計者のみで単独で出来るものではなく、依頼者もその手綱を握っています。
    そこら辺が請負の他の職人さん等の仕事との大きな違いです。
  • 仮にもし依頼者が設計を気が遠くなるほど変更しいつまで経っても完成させない場合、設計者は永遠に報酬をもらえないし仕事量と経過した時間も膨大なものになります。
    そしてそこまで仕事をして打ち切られたら、完成していない請負だと報酬はゼロです。
  • 見積り金額が出せるまでの設計(仕事)をしても、たとえ何度も図面を書き直しても、何枚も何十枚も、あるいは何百枚も書いてもそこで打ち切られたら、完成していない「請負」ならば報酬はゼロになってしまいます。
  • あまりだらだらと説明しても話しがややこしくなるでしょうから必要以上の事は割愛しますが、「準委任契約」あるいは弁護士などの「委任契約」は、委任者と受任者双方の信頼関係から成り立つ契約ともいえます。
  • 各当事者(双方が)がいつでもその解除をすることができる代わりに、受任者は委任者を信頼して仕事をこなします。(逆も然り)
    その中には、「こなした分」の報酬の支払い行為に関してもその信頼関係に帰属するはずです。
  • そうでなければ怖くて出来ないですから、このような仕事は成り立たないからです。
  • もしこれが請負契約だとしたら、仮に依頼主に悪意があるとした場合、欺罔行為(広い意味で他人をあざむく行為)に気付かずに労務と報酬の多大な損失を受けてしまうことになります。



  • 弁護士の場合(委任契約)も途中で解任したとしても着手金の支払いからはまず逃れられないのが通常ですし、ほぼ誰もが支払っています。
  • 医者と患者の診療契約は、「準委任契約」だといわれていますが、仮に「この医者は駄目だ」、あるいは「他の医者や病院の方がいいんじゃないか」などと判断した時に、医者を別のところに変えてもそれまで掛かっていた医者の(医療の)報酬は、ほぼ誰もが支払っています。
    • 病院に行った時、帰りに皆さんほぼその場で即払っていますよね。
      「こなした分・その行為の過程において」 誰もが報酬を支払い、また、受け取る効力が発生しているのです。
  • 設計もそのような仕事となんら変わりません。
    (なお、弁護士や医師が上位資格であることや、社会的地位の違いなどはもちろん関係ありません。が、そのような事や違いが設計や建築業界の仕事そのものを軽く見られ、あるいは、なめられていて?このような過ちに少なからず拍車をかけているのかも知れません。)


  • これは完全なる偏見から起きた判決です。
    この裁判の詳しい経緯を知れば、その判決のおかしさと矛盾が理解されると思います。
    (これ(裁判の経緯)に関しては、この記事では割愛させていただきます)
    別記事で紹介しようと思います。




※なお、上記記述の一部は、「ケンプラッツ日経BPのサイト」の読者コメントに私自身が投稿した自身のコメントの一部を書いています。


また、このサイトの記事には、設計者と依頼者の間で起こった、ある意味非常に特殊なケースの詳しい経緯と裁判の経緯(これも非常に興味深い)や中身は、別の雑誌の中身の著作物性を考慮したため?なのか、断片的な内容でしかなく、一番重要であることがまるっきり抜けており詳しい経緯が書かれていませんでした。

それが他の読者(経緯を知らない読者の方々。ケンプラッツのこの記事にコメントされたほとんどの方が、この経緯とそして非常に特殊なケースであることを知らないようでした)、

特に建設業界の人間ではない一般の方、あるいは設計者ではなく施工者側の立場の方々に大きな誤解を生んでしまっている事が、沢山投稿された読者コメントからも見て取れます。
(もちろん、設計者側の立場の方々の中にも、この事件の詳しい内容を知らないであろうと思われる設計者達からは、この件の設計者に批判的な意見が多々ありました。)

裁判を含めた(設計者と依頼者の間で起こった事だけでなく、さらに裁判も特殊な事情・経緯があった)全ての経緯を知らない事には、多くの場合は設計者や建築家への偏見からくる意見となってしまうような特殊性があったのです。


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