足場の階段の組み方
■足場の階段
- 足場の階段の設置方法は現場の状況により様々ですが、この記事では大まかに2つの例をあげて説明してみます。
↑クリックで拡大↑
なお、図はあらかじめ手摺材等その他諸々、省略しています。
- 図にあるように、同じスパン上で上下に階段を設置している例があります。
- この架け方は感心しません。
図にも説明していますが、上下に階段があると背がそれほど高くない人でも頭に当たってしまいますし、常に「いってこい」の動きを強いられ、資材や道具等が運びにくく、移動自体が困難です。
このことは「危険」につながり、安全面でもよい事ではありません。
- できる限り避けたい設置方法ですが、近年、大手ハウスメーカーの住宅足場等で、なぜかよく見掛けます。
- 住宅足場などの場合は規模自体が小さく、また、敷地面積や境界からの距離などに余裕がない場合が多く、このような設置方法にしないと仕方がない場合も確かにあります。
- ですが、少しの工夫と手間で、もっと昇り降りのしやすい使い勝手のいい階段の設置が可能なのに、判で押したようにマニュアル的に、どの現場でもこの組み方ばかりしている例も多いです。
それは明らかな怠慢です。
- 足場の階段は、できる限り直階段が望ましく、2段行って踊り場があるのが望ましい。
3段直で行って踊り場の階段にしている場合もありますが、3段連続だと色んな面でキツイです。
- 階段が3段・4段必要な場合は、2段行った後に踊り場を設け、その上の1~2段行った後にまた踊り場を設けるのが望ましい。
- なお、最初に説明した、同じスパンで上下に連続してある階段よりも、それでもまだ3段連続の方がはるかにマシです。
それくらい、同スパンでの「いってこい」の連続は使い難い階段の設置方法です。
特にやや大きめの資材を運ばなければならない(上にあげる)場合は、よけいに使い難く困難な階段です。
- この「同じスパンで上下に連続してある階段」は、「1段昇って踊り場がある」場合を想定した図ではありますが、現実の現場では、踊り場のない階段部分のみを架設したような組み方の現場の方が多く、また、いくら踊り場の部分があろうとも、それでもまだ3段の直階段のほうがずっとマシなくらい、資材や道具を持ったり運んだりする職人さんにとっては使い難い階段なのです。
- 現場の状況からどうしても無理な場合は仕方がないですが、足場はそれを利用する他の職人さんが仕事しやすいように組むのを心掛けるのは当然であり、工夫や手間が掛かる場合もあるでしょうが、できる限り職人さんが使いやすい足場、階段の設置をするべきでしょう。
- 少なくとも、条件が悪くない現場だろうが、どの現場でも常に同じワンパターンでこの使い難い階段を組んでいる怠慢とマニュアル的な組み方はあらためるべきです。
- ※なお、もう一つの組み方として、ある程度余裕のある敷地の場合、ステージ状に階段スペースを広目に取り「踊り場をかなり広く取りながら」、
/
\
/
↑のような「階段自体を行って来いの形にしている」設置方法もありますが、同じ行って来いで方向転換があるにしても、こちらの方が広い踊り場を利用し、階段の上下も左右にズレて位置が違いますので、上記で示した悪い例より使い勝手はずっとよくなります。
但し、この方法は足場の資材を沢山使ってしまうのと設置に手間が掛かるデメリットもありますから、元請さんがそれなりの費用・足場代金をきちんと加算してやる必要があります。